『炎立つ』兵庫公演・岩手公演


炎立つ』千秋楽からあっという間に1週間経ってしまって、もうはるか昔のことのように感じてしまう。
兵庫公演2回、岩手公演は土曜日1回観に行ってきました。
初回観て自分が原作にこだわりすぎていて、正直戸惑いしかなかったのだけれど、
東京から数週間のうちに自分の中で整理がついたようで、
兵庫・岩手ではそのものを楽しむことができた様な気がします。
しかしアドリブがあるような物語ではないし、
毎回のことをどのように感想を書こうかと思っているうちに時間が経ってしまった。


一つ言えることは東京で観たときよりもずーっとずっとイエヒラがイエヒラ然としていた。
特に後半がすごく魂が感じられた。
共演者との関係が近くなったというのもあるだろうし、
回数を重ねてガチガチだったところが変な力みがとれていい感じになってきたんだろうなぁ。


3回目にして、最期に母が迎えに来て向き合ったときの表情がやっと観られて、涙。ポロッと泣けた。
なんだ、あの表情はよ。ブワッと想いがあふれ出た瞬間。泣きそうな顔をする。
あぁ、愛おしい。
ホントにホントにもっと早くだれか抱きしめてあげてほしかったよ。こんなに愛に飢えてるのに!


そういえば、背後にアラハバキがジッと見据えているなか、
間をたっぷり取りながら「俺はなんだったんだ」と絶命するところを見ていて、
あるとき突然すごくハッとしたことがあった。
この大御所がいる舞台の真ん中でひとり演技をしている、という現実にハッとした。
「うわぁすごいな!」と純粋に感動した。
なんだかものすごく三宅健という存在が誇らしくなって、ニヤリとしちゃった。
こんなに立派になって(涙)
この感情をうまく表現できないから安っぽい言葉になっちゃうけど、すごく感慨深かったのです。


そして、強烈に印象に残っているのはやはりアラハバキ
イエヒラが酒におぼれながらコロスに詰め寄っているときに、出番待ちのアラハバキ様が袖からジッとそれはジーッとイエヒラの悪行を見ていたのです。
恐怖を感じたね。
表に出てきていないのに袖からもビリビリ伝わる恐怖。あぁおそろしい。
荒ぶる神・アラハバキと取り込まれるイエヒラ。
懐にくるりと飛び込んでいく姿がたまらなく好きだったな。
この競演を観られて本当によかった。
ラヂオで語られた平さんとのエピソードの数々もほんわかしててほっこりするし、
ステキな共演者に恵まれて、この舞台を経験して、ものすごい財産になっただろうなぁ。


この経験が次の何かへつながるのかな。
たのしみにしていようっと